『 天国へつながるポスト 』

 
会えなくなったひとに想いを伝えたい…
最期に「ありがとう」も「さようなら」も言えなかったひとはたくさんいるはず 会えなくなった大切な存在に想いを届けるポスト

『天国へつながるポスト』のはじまり
『天国へつながるポスト』のあるカフェとして、私たちのグリーフケアカフェは知られています。
私自身、ある日突然、父を事故で亡くして、心の整理のつかないまま何年も過ごしてきたのですが、最期に「さよなら」も「ありがとう」も伝えられず、本当は生きているときに伝えたかったことがたくさんありました。
一人で逝かせてしまってごめんね。なぜ私をおいて逝ってしまったの?もっとこうしていれば死ななかったのではないか…。もっと親孝行したかった。もっともっと大好きだよと言えばよかった。素直になれなくてごめんなさい。私の父になってくれてありがとう…」そうしたたくさんの後悔や感謝の気持ち、聞きたいことや話したいことがたくさんありました。もう一度、父と話がしたいと思ったとき、友人から羽根のついたレターセットをもらい、父に手紙を書いたのです。亡くなったひとに手紙を書くなんて…と最初は思いましたが、いざ書き始めると、あの日から止まっていた心の時計が動き出したように、心の奥深くにしまっていた想いが溢れてきました。手紙を書き終えたけれど、手紙を届けられる住所もポストもなく「天国へつながるポスト」を作って、父に届くことを祈りながら投函しました。
家の清掃をしていたとき、ふと引き出しの中から一枚の封筒がみつかりました。生前、父が私に宛てて書いた手紙でした。実は昔、父から一度だけ手紙をもらったことがあったのです。あの頃は見向きもしなかったのですが、その手紙が今になって出てきました。
中を開けてみると、懐かしい父の匂いがしました。手紙には「そばにいてやれなくてごめんな、つらい想いをさせてごめんな…」読みながら涙がでました。ぎこちない文章だけど、たくさんの愛が詰まったメッセージでした。まるで父に宛てた手紙の返事が返ってきたようでした。「あぁ父に手紙が届いたんだ、父は今も変わらず生きているんだ」と想いました。私のように、会えなくなった人に伝えたい想いを持った人はたくさんいると思います。ですから「この天国へつながるポスト」をグリーフケアカフェに設置して、誰でも投函していただけることにしました。


『天国へつながるポスト』を置いているカフェ

東京都内(町田市・世田谷区)2箇所で「グリーフケアカフェ」を月に一度ずつ開催しております。お手紙のご投函と合わせてグリーフケアカフェへご参加を希望される際は、以下の画像をクリックして、各サロンのホームページより「参加申込み」をお願いします。

Grief care salon MACHIDA 
(グリーフケアサロン町田)

場所:  玉川学園コミュニティーセンター 2階 (多目的室4)
住所:  東京都町田市玉川学園2‐19‐12
     (小田急線「玉川学園前駅」下車、直通徒歩1分)
時間:  通常
13:30~16:00頃
     夜カフェ(夕食つき)18:00~20:30頃
     (曜日指定なし)
参加料: お一人1,000~2,000円(当日払い)
     ※開催3日前よりキャンセル料が発生しますのでご注意ください。

Grief care salon SETAGAYA
(グリーフケアサロン世田谷)

場所:  砧総合支所区民集会所 4階 (第1会議室または、第3会議室)
住所:  東京都世田谷成城6丁目2番1号
     (小田急線「成城学園前駅」下車、北口から徒歩3分)
時間:  通常13:30~16:00頃
               (曜日指定なし)
参加料: お一人1,500~2,000円(当日払い)
     
※開催3日前よりキャンセル料が発生しますのでご注意ください。


「羽根のついたレターセット」を会場にご用意しております。

※「お手持ちのレターセット」をご使用いただき、ご自宅でお手紙を書いてお持ちいただいても大丈夫です。

会えなくなった大切な存在へ、あなたの伝えたい想いをお書きください。

大切な存在を思い浮かべながら、想いを込めて『天国へつながるポスト』へ投函してください。


お手紙を投函された方の声

ご主人を亡くされたAさん(女性)

夫に伝えたい想いをたくさん書きました。『天国へつながるポスト』に投函した数日後、生前、夫が使っていた机の引き出しの奥に手紙があるのを発見しました。遺品は整理していたはずなのに不思議です。手紙には、私と子どもたちに向けてのメッセージが書かれていました。夫は自分の命が残り限られていることをわかっていたのです。残された私たちに「苦労かけてすまない。苦しい思いをさせてごめんな。」と涙でにじんだ直筆が残されていました。最後には悲しみに浸る日々を気にかけてか「心配するな、先に逝くだけだから。いつかまた会える日が来るから、その時まで、子どもたちのこと頼みます」と書いてありました。この先、どう生きていけばよいかわからず、夫に手紙を送った私に、夫は返事をくれました。その日から不思議と私は、夫のことで悲しみに浸ることがなくなりました。夫を傍に感じられるようになったからです。それからしばらくして久しぶりにグリーフケアカフェに伺いました。「子どもたちも大きくなって、私の手から離れて行って、これから何を目的に生きたらいいのかわからなくなっていたんですけども、主人とのつながりを感じてから気持ちの変化がありました。これまでは、主人を亡くして、子どものために生きてきて、自分のために時間を使ってこなかったんですけども、自分の人生を生きてみようと思えるようになったんです。主人がそれを応援してくれているような気がしたんですね。でも、今までの時間は、自分にとって必要だったと思います。この哀しみを通して、成長できたことがたくさんありましたし、それなりにがんばれたと自分を認めてあげたいと思うんです。これからは、自分のために時間を使っていきたいと思えるようになりました。いつか、私も死ぬ時がきますから、向こうに行ったときに、主人に胸を張ってありがとうという感謝と、がんばったでしょと言えるように、この経験を力に変えて、子どもたちの成長を見守りながら、自分らしく生きていきたい」そんな話をしました。自分の気持ちを言葉にしたことで、第二の人生の一歩を進めた気持ちになりました。とても晴れやかな気持ちでカフェをあとにしました。本当にありがとうございました。

お母様を亡くされたYさん(女性)
母親を東日本大震災で亡くしました。昨年都内に越してきて、グリーフケアカフェに通いはじめるようになりました。カフェでは毎回、お話会と共にいろんなワークをしていただいています。そこで『天国へつながるポスト』に手紙を投函するワークをやりました。一人で逝かせてしまったこと、助けてあげれなかったこと、なぜ自分だけが生き残ってしまったのかと、毎日自分のことを責めていましたので、母に「ごめんね」を伝えました。手紙を投函した日、帰り道にきれいな虹がふたつ空にかかっていました。昔、母と二人で丘を登ってスーパーに買い物に行ったとき、空にかかった虹を母が見つけて「〇〇ちゃん、ほら虹だよ。ふたつかかってる、きれいだね」と教えてくれたことを思い出しました。あの日、母と見た虹が目の前に広がり、涙が溢れました。雨上がりの道を虹を見ながら歩いていると、駅前のお店を通り過ぎたとき、店の中から生前、母がよく聞いていた曲が流れました。「夜の静けさに 息をひそめて見守るの 雨が止む前に抱きしめ合えたら…」母がそっと、私に語りかけてくれているようでなりませんでした。

娘様を亡くされたNさん(女性)

小児がんで娘を失って3年が経ちました。娘のいない毎日は、空虚感と、ただ涙が溢れる日々でした。
何もやる気にならず、何も感じず、自分が何のために生きているのかもわからず、この先どう生きたらいいのかもわからない、そんな日々の中、友人に声をかけてもらいレモネードスタンドを始めたのですが、その時に出会ったお客さんから『天国へつながるポスト』の存在を教えてもらいました。緊張しながら現地に足を運ぶと、お二人のスタッフさんが優しく声をかけてくださって「羽根のついたレターセット」を渡してくださいました。手紙を書いてポストに投函すると、その後、温かいレモネードを入れてくださいました。スタッフさんもお子さんを亡くされていて、私の悲しみを自分のことのように受け止めてくださいました。娘の話をたくさんして、ほんとうに幸せな時間でした。最後にスタッフさんが「お母さまのお気持ちは、きっと娘さまに届いていると思いますよ」とおっしゃってくださいました。「お母さま」と誰かに言ってもらえたのは3年ぶりでした。私は今も、娘の母親でいられるのだと、涙が出るほど嬉しかったです。ずっと泣いていた私を心配して、娘がここに連れてきたくれたのだと感じました。救われた気持ちになりました。ほんとうにありがとうございました。

奥様を亡くされたKさん(男性)

妻を亡くしてからは、毎日仕事に没頭する日々でした。自宅に帰ると、以前なら妻が料理を作って、私の帰りを待っていてくれました。今はいつ帰っても、電気もついていない、待っていてくれる人もいない、静かで殺風景な孤独な場所となりました。ふと妻のことを思い出して涙が出る、そんな私の日常は、まるで色のない世界で、一人取り残されたような寂しいものでした。『天国へつながるポスト』の存在を知ったのは、知人に紹介をしてもらったことでした。私は話すことがあまり得意ではないので、手紙で妻に想いを伝えることにしました。今は私にとって、この場所は唯一、本音をさらけ出せる場所です。妻と話が出来る場所があるだけで、明日また仕事をし、自宅で料理を作り、食べる力が湧いてきます。先日、妻の夢を見ました。妻は私に微笑みながら「あなた、よく頑張ってるね」と言ってくれたのです。住む世界は違っても、私の妻は今も生き続けていると感じました。あと何年経てば、妻のところに逝けるのかわかりませんが、残された人生を精一杯生き切って、妻にまた会える日を心から願っています。